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1950年代末に始まり、1986年の死の直前までつづく、迷宮のごとき土方巽の多彩な舞踏活動を、色彩豊なポスターをポータルにしてガイダンス

暗黒舞踏派提携記念公演 《バラ色ダンス—A LA MAISON DE M. CIVECAWA》 1965.11.27~28

会場
千日谷会場(信濃町)
作品名
バラ色ダンス—A LA MAISON DE M. CIVECAWA
構成・演出・振付
土方巽
出演
土方巽 / 大野一雄 / 大野慶人 / 石井満隆 / 笠井叡 / 玉野黄市 ほか
美術
中西夏之 / 加納光於 / 横尾忠則 / 赤瀬川原平 / 風倉匠
音響
小杉武久 / 刀根康尚
関係者
瀧口修造 / 澁澤龍彦

About the poster

寸法
105.0*75.0
デザイン
横尾忠則 YOKOO Tadanori

About the performance

1963年の<あんま 愛慾を支える劇場の話>につづく、アンチダンスというべき作品。 60年代初めの暗い鬱屈した世界と異なり、諧謔と明るさが混じった舞台であった。「暗黒」と「バラ色」という一見、 アンビヴァレンツなイメージは土方巽の本質でもある。

この作品でも、一貫したテーマ=物語をもってつくられてはおらず、シーンを重ねてゆく構成で作品化している。 したがって、作品タイトルもダンスによるメッセージが標記されていない。 サブタイトルは、直訳すれば「澁澤さんの家の方へ」。プルーストの作品タイトルのもじりである。 これまで作品をつくるに際して、土方がソースとしてきた澁澤龍彦へのオマージュといえる。

ホースを咥えた二人の白塗りのダンサーのからみ、突っ立ったまま自らの胸を打ち続けるダンサー、女性器を背中いっぱいに描かれたダンサーの上半身の踊り、易占の図像が描かれた布幕の前でのフェンシングの構え、ホリゾントにニッチを設け後ろ向きの男たちとビクターの犬を配置すること、 3人の男たちの髪を本物の床屋に刈らせるパフォーマンスなど、一見意味のない行為の羅列、連続であった。 あるいは、大野一雄の背に描かれた(テープ貼り)「宣長」の文字。小林秀雄の影響としても。

なぜ宣長なのか。なぜ大野一雄を本居宣長に擬えたのか。そのなかで、土方と大野一雄がデュエットで優雅に踊るシーンがあった。

舞台美術に中西夏之が新たに参加し、この後の二人の協同の始まりとなる。中西は招待状もデザインしている。 赤瀬川原平は「あんま」につづいて参加し、舞台装置としての「易断面相図幕 肋膜判断」を提出、風倉匠もパフォーマンスで参加する。

加納光於は案内状ともなる砂糖菓子一式を制作する。砂糖でつくられただけに極めて貴重ものになっている。 ポスターは横尾忠則のデザイン。プレモダンにしてアヴァンギャルドな傑作。のちの状況劇場、天井桟敷のポスターのさきがけとなる、

グループ音楽の小杉武久と刀根康尚が参加した。しかし、音楽の記録は残されていない。

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