慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

瀧口修造研究会

KUAC所管の瀧口修造コレクションを通じて瀧口修造の歴史的位置付けを行うこと、その可能性の中心ついて探ることを目的とし、月に1度行っている。2021年発足。

  • 2021ー継続中


  •  研究会設立趣意

 瀧口修造(1903-1979)は詩人、美術批評家であると同時に、50年代にはタケミヤ画廊を中心に展覧会のオーガナイザーとしての活動を、60年代には造形的な実験を開始し、領域を横断する活動を実践した人物である。瀧口の活動の全貌はいまだ詳らかにされておらず、芸術の文脈において歴史的にどのような働きをしたのかについて研究が尽くされているとは言いがたい。本研究会は、アート・センターが所管する「瀧口修造コレクション」を通じてその歴史的位置づけを行うこと、そしてますます加速していく領域横断的で多様化する芸術活動を思考するための糸口として、瀧口のアクチュアリティを現在に接続することを目的とする。さらに、自身の「書斎」を制作現場、読書室、談話室、展示空間など多様な空間と捉え「影どもの住む部屋」とも呼んでいた瀧口が見出していた人と物の関係についての諸問題を経由し、アーカイヴについても考えていく。

 本研究会は二つの軸を中心に研究を進めていく。一つはアート・センターが所管する関連資料群の調査・研究による討論会であり、もう一つは瀧口の著作(初出も含めて)の読書会である。基本的に月に1度のペースでこれらを行い、その記録を例会通信として、アート・センターのHPを介して広く発信する。さらに回数を重ね、機が熟した際には研究成果の書籍化や展覧会開催なども計画している。本研究会は「瀧口修造1958—旅する眼差し」(展示:2005、書籍:2009)、「東京 ローズ・セラヴィ—瀧口修造とマルセル・デュシャン」(2012)、「アート・アーカイヴ資料展XVI|影どもの住む部屋[I]—瀧口修造の書斎」(2018)、「アート・アーカイヴ資料展 XX:影どもの住む部屋II—瀧口修造の〈本〉—「秘メラレタ音ノアル」ひとつのオブジェ」(2020)で培った考察と試行の経験を基礎としている。今後、瀧口への新たな視座を作りだすために、さらに各方面における協力を仰ぐ予定である。

  •  マージナリア・ジャーナルについて

 マージナリア・ジャーナルは、瀧口修造研究会に並行して発行される。基本的には例会報告としての側面を持つが、今後、資料の提示、さらなる問題の共有、議論の記録などを行っていく予定である。また、この印刷物自体が瀧口の様々なモチーフを展開していくためのひとつの場となることも目指す。

第0回:2021年06月08日|『マージナリア・ジャーナル』0号
第1回:2021年07月06日|『マージナリア・ジャーナル』1号
第2回:2021年08月10日|『マージナリア・ジャーナル』2号
第3回:2021年09月07日|『マージナリア・ジャーナル』3号
第4回:2021年10月12日|『マージナリア・ジャーナル』4号
第5回:2021年11月09日|『マージナリア・ジャーナル』5号
第6回:2021年12月14日|『マージナリア・ジャーナル』6号
第7回:2022年02月08日
第8回:2022年04月12日