國方林三《藤原銀次郎胸像》矢上キャンパス野外彫刻洗浄保存処置
矢上キャンパス25棟学事課南側広場に設置されている、國方林三《藤原銀次郎胸像》は、長年風雨にさらされ、汚損が確認されたため、アート・センターを通じて専門家による洗浄保存処置を行った。 藤原銀次郎は、福澤の指導を直接受け、三井銀行を経て、富岡製糸場、王子製紙の支配人となり、王子製紙の事業拡大を主導、「製紙王」の異名を取った。昭和13年、私財を投じて日吉キャンパスに藤原工業大学を設立、理工学部の前身となった。
本作品は、昭和25年に工学部の開設10年を記念して正式に発足した工学部同窓会の依頼により、彫刻家國方林三が制作したものである。当時工学部は小金井にあり、像は正面玄関広場に設置されていた。[文献] 大澤輝嘉「藤原銀次郎と理工学部」『三田評論』no.42、慶應義塾発行、2010年1月。大澤輝嘉「藤原銀次郎と理工学部」『三田評論』no.44、慶應義塾発行、2010年3月。「第9回矢上キャンパスの銅像」『慶應義塾大学理工学メディアセンターニュース』no.1671、慶應義塾大学理工学メディアセンター発行、2013年4月。
保存修復作業記録
2016年5月10日 ブロンズスタジオ/黒川弘毅/作業者:黒川弘毅、篠崎未来、遠藤啓祐
作品
作者=國方林三
作品名=藤原銀次郎胸像
材質・技法=ブロンズ
制作年=1950年(昭和25年)
【作業前の状態・表面の状態】
・表面の状態:2006年頃に塗布されたと推定される塗料の劣化が緩やかに進行しているが、人工的で単調な着色が保樹脂による補修箇所樹脂による補修箇所洗浄ワックス塗布たれている。
・鳥の排泄物:なし。
・人為的キズ・落書きの個所:なし。
・ピンホール(鬆)・穴・亀裂:顕著なものは認められない。
・内部からの噴出・析出物:なし。
・破損・欠失個所:なし。
・その他の異常:認められない。
・変形個所:なし。
・固定状態:良好。
【作業の基本方針】
洗浄だけを施し、保護剤のワックスを塗布しない。
【作業内容】
1.洗浄作業 非イオン系洗剤を用いて洗浄した。
【作業結果】
作業前と比較して、顕著な変化は認められない。
【保存上の留意事項】
塗料の劣化を待ち、自然な古びへの移行を期待する。
写真は左から
写真1:作業前
写真2:洗浄
写真3:作業後
日付
2016年1月27日
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