慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

中西夏之《男子総カタログ》の修復

 本作品は2012年度のアーカイヴ資料展での展示を実現するために、修復処置を施し、展示後さらに補強的処置を施した。その後、展覧会への出品依頼を受けて貸出たところ、展示中の事故により破損したため、修復の専門家に依頼して修復処置を施し、展示へのアドバイス及び展示を想定した補強処置を施した。安全性を高めるため、展示用筒を新たに作成した。
〔文献〕『ハイレッド・センター:「直接行動の軌跡」』(展覧会カタログ)「ハイレッド・センター」展実行委員会、2013年



保存修復作業記録

2014年1月27日修復研究所21・有村麻里

作品

作者=中西夏之
作品名=男子総カタログ’63
制作年=1963年
材質・技法=ブループリント(サイアノタイプ感光紙)
寸法=1287×78.2cm

【修復処置事項および内容】

1.  調査
・ 調査書作成
・ 写真記録 №1〜13  デジタル〈前・中・後〉
2.  破損部接着(接着剤=生麩糊、材料=和紙)
・ 画面側から破損部分の合わせを確認しながら、紙繊維の先端に生麩糊を塗布した。
・ 裏面側から帯状に裁った薄い和紙を生麩糊を用い、破損部を補強した。
・ ポリエステル紙、吸い取り紙を重ね、おもしをして接着した。
3.  支持体補強(接着剤=生麩糊、材料=和紙)
・  左右辺の細かな破れを接着した後、2.5 cm幅の帯状に裁った和紙を左右辺に生麩糊で接
  着した。
・ 破損部接着、支持体補強に用いた和紙。画面側に段差や変形などの影響が及ばないよう、
   繊維を食い裂いて裁った。また、二重に重ねて補強したい場合は薄い和紙を用いた。
・    左右辺の上辺から下辺にかけて補強を行った。
4. 写真撮影(修復後)、報告書作成
5.  その他
・ 中性紙まるづつ・まるづつ容器新調

写真は左から
写真1:修復前(破損部分)
写真2:修復後

日付

2014年11月〜1月