Booklet 22 コスモス――いま、芸術と環境の明日に向けて
今日、我々をとりまく現代の非物質的な情報化は、近世以来ながく芸術創造をその根底で支えてきた「大宇宙(マクロコスモス)と小宇宙(ミクロコスモス)=芸術創造のアナロジー」という規範をも問い直してやまない。
「コスモス」という表題のもとに編まれた本書は、非物質的な情報化世界であるがゆえに従来とは別様な在り方へと拡張されてきたわれわれ生きた人間の感覚や身体的な知覚経験、さらには芸術的・感性的な想像力そのものを再考する試みである。
美術家、哲学者、メディアテクノロジー研究者、演劇学者、美術史家らがそれぞれの立場から展開する多角的な議論は、いずれも新たな問題提起にほかならない。
はじめに (後藤文子)
1. 触覚性コスモス(河本英夫)
カメラ・アブスルダにおける「ハプティク(内触覚)」――小さな宇宙、あるいはイメージの弁証法(前田富士男)
2. 空洞説――言葉とカオス(遠藤利克)
いのちの土(栗田宏一)
3. シェイクスピア時代の〈相対主義的想像力〉について――伝統的宇宙像と演劇的世界観の融合と相克(小菅隼人)
造園植栽家フェルスターをめぐる「〈近さ〉の交信」・「〈遠さ〉の交信」――モダニズム建築と天体観測と気象芸術学(後藤文子)
4. 「フィジタル」な想像力へ(田中浩也)
5. 主要研究資料(後藤文子)
6. 英文要旨
- Booklet 01 コラボレーション——芸術の可能性
- Booklet 02 サウンドスケープ——アート情報の世界をひらく
- Booklet 03 アート・マネジメント
- Booklet 04 脱芸術/脱資本主義——半プロダクション礼賛
- Booklet 05 ヨーゼフ・ボイス——ハイパーテクストとしての芸術
- Booklet 06 ジェネティック・アーカイヴ・エンジン——デジタルの森で踊る土方巽
- Booklet 07 アート・アーカイヴズ/ドキュメンテーション——アート資料の宇宙
- Booklet 08 黒沢清・誘惑するシネマ
- Booklet 09 ソフィ・カル——歩行と芸術
- Booklet 10 身体をキャプチャーする——表現主義舞踊の系譜
- Booklet 11 芸術のプロジェクト
- Booklet 12 芸術のロケーション
- Booklet 13 記憶としての建築空間——イサム・ノグチ/谷口吉郎/慶應義塾
- Booklet 14 To and From Shuzo Takiguchi
- Booklet 15 文化施設の近未来―アートにおける公共性をめぐって
- Booklet 16 ワークショップのいま――近代性の組み替えにむけて
- Booklet 17 福澤諭吉と近代美術
- Booklet 18 文化観光 『観光』のリマスタリング
- Booklet 19 視×触―視ること、触れること、感じること
- Booklet 20 ゴジラとアトム―原子力は「光の国」の夢を見たか
- Booklet 21 光源体としての西脇順三郎
- Booklet 22 コスモス――いま、芸術と環境の明日に向けて
- Booklet 23 アイドル♥ヒロインを探せ!
- Booklet 24 美術と批評
- Booklet 25 シェイクスピア―拡張する世界
- Booklet 26 mandala musica
- Booklet 27 芸術とアーカイヴ ― ジェネティック・エンジン
- Booklet 28 Royal Bodies 象徴と実在の間
- Booklet 29 モルフ/アンティ・モルフー「場」をめぐるイメージ論
- Booklet 30 没後40年 西脇順三郎──無限の過去、無限の未来
- Booklet 31 槇文彦の諸相──建築と人をつなぐ