Booklet 20 ゴジラとアトム―原子力は「光の国」の夢を見たか
3月11日の大震災とそれに続く原発事故以来、さまざまな角度から既存の体系(システム)にたいする懐疑の念が寄せられた。原子力をささえる狭義の自然科学的な知の体系、自然を開発しようとする知の体系、消費・成長一辺倒にたいする懐疑など、自然科学、人文社会科学を問わず、既存の体系や考えかたが再検討を迫られている。ゴジラやアトム、あるいはウルトラマン等のように高度成長の過程で生み出されたストーリーがそれ自体深刻な問題提起も含んでいたことを重視し、SF映画やアニメの表現を通して大震災や原発の問題を考えたい。
はじめに (池田幸弘)
1. ゴジラとアトム―― 一対性のゆくえ (加藤典洋)
2. ゴジラ―― 日本的な、あまりに日本的な (萩原能久)
ゴジラ状無意識 (巽孝之)
3. 「鉄腕アトム」に込められた手塚治虫の思想―― 〈宇宙人〉を迎えるために (吉村和真)
宮崎アニメに宿る いのちの力 (氷川竜介)
4. 亡霊の生命―― ゴジラ、モスラ、ウルトラマン (粂川麻里生)
5. 主要研究資料 (海老原豊・宮本道人)
6. 英文要旨
- Booklet 01 コラボレーション——芸術の可能性
- Booklet 02 サウンドスケープ——アート情報の世界をひらく
- Booklet 03 アート・マネジメント
- Booklet 04 脱芸術/脱資本主義——半プロダクション礼賛
- Booklet 05 ヨーゼフ・ボイス——ハイパーテクストとしての芸術
- Booklet 06 ジェネティック・アーカイヴ・エンジン——デジタルの森で踊る土方巽
- Booklet 07 アート・アーカイヴズ/ドキュメンテーション——アート資料の宇宙
- Booklet 08 黒沢清・誘惑するシネマ
- Booklet 09 ソフィ・カル——歩行と芸術
- Booklet 10 身体をキャプチャーする——表現主義舞踊の系譜
- Booklet 11 芸術のプロジェクト
- Booklet 12 芸術のロケーション
- Booklet 13 記憶としての建築空間——イサム・ノグチ/谷口吉郎/慶應義塾
- Booklet 14 To and From Shuzo Takiguchi
- Booklet 15 文化施設の近未来―アートにおける公共性をめぐって
- Booklet 16 ワークショップのいま――近代性の組み替えにむけて
- Booklet 17 福澤諭吉と近代美術
- Booklet 18 文化観光 『観光』のリマスタリング
- Booklet 19 視×触―視ること、触れること、感じること
- Booklet 20 ゴジラとアトム―原子力は「光の国」の夢を見たか
- Booklet 21 光源体としての西脇順三郎
- Booklet 22 コスモス――いま、芸術と環境の明日に向けて
- Booklet 23 アイドル♥ヒロインを探せ!
- Booklet 24 美術と批評
- Booklet 25 シェイクスピア―拡張する世界
- Booklet 26 mandala musica
- Booklet 27 芸術とアーカイヴ ― ジェネティック・エンジン
- Booklet 28 Royal Bodies 象徴と実在の間
- Booklet 29 モルフ/アンティ・モルフー「場」をめぐるイメージ論
- Booklet 30 没後40年 西脇順三郎──無限の過去、無限の未来
- Booklet 31 槇文彦の諸相──建築と人をつなぐ