Booklet 18 文化観光 『観光』のリマスタリング
福澤諭吉は「国光発於美術」(国の光は美術に発する)と記した書幅を残した。中国の古典『周易』にある「観国之光、利用賓得于王」(国の光を観るは、王に賓たる利あり)に由来するとされ、この言葉はまた観光という語の源ともされている。この言葉が本来持っていた「光」、つまり優れた文化的な所産等を、「観」、すなわち見る、示すという意味合いで観光を再検討し、観光立国が唱えられる今こそ、観光のリマスタリングをおこなうことが必要ではないであろうか。
はじめに(美山良夫)
1. 文化観光の軌跡 (北川宗忠)
「文化観光」と文化施設マネジメントの近未来 (美山良夫)
2. 英国人のグランドツアー――その起源と歴史的発展 (小林麻衣子)
3. 幕末江戸の、ひとり観光旅行――『 江戸名所独案内』にみる、近世末期の江戸市中旅ガイド (内藤正人)
「日本八景」の選定――1920 年代の日本におけるメディア・イベントと観光 (新田太郎)
4. 目指せ観光大国! (星野佳路)
5. 主要研究資料 (下平わか奈・美山良夫 編)
- Booklet 01 コラボレーション——芸術の可能性
- Booklet 02 サウンドスケープ——アート情報の世界をひらく
- Booklet 03 アート・マネジメント
- Booklet 04 脱芸術/脱資本主義——半プロダクション礼賛
- Booklet 05 ヨーゼフ・ボイス——ハイパーテクストとしての芸術
- Booklet 06 ジェネティック・アーカイヴ・エンジン——デジタルの森で踊る土方巽
- Booklet 07 アート・アーカイヴズ/ドキュメンテーション——アート資料の宇宙
- Booklet 08 黒沢清・誘惑するシネマ
- Booklet 09 ソフィ・カル——歩行と芸術
- Booklet 10 身体をキャプチャーする——表現主義舞踊の系譜
- Booklet 11 芸術のプロジェクト
- Booklet 12 芸術のロケーション
- Booklet 13 記憶としての建築空間——イサム・ノグチ/谷口吉郎/慶應義塾
- Booklet 14 To and From Shuzo Takiguchi
- Booklet 15 文化施設の近未来―アートにおける公共性をめぐって
- Booklet 16 ワークショップのいま――近代性の組み替えにむけて
- Booklet 17 福澤諭吉と近代美術
- Booklet 18 文化観光 『観光』のリマスタリング
- Booklet 19 視×触―視ること、触れること、感じること
- Booklet 20 ゴジラとアトム―原子力は「光の国」の夢を見たか
- Booklet 21 光源体としての西脇順三郎
- Booklet 22 コスモス――いま、芸術と環境の明日に向けて
- Booklet 23 アイドル♥ヒロインを探せ!
- Booklet 24 美術と批評
- Booklet 25 シェイクスピア―拡張する世界
- Booklet 26 mandala musica
- Booklet 27 芸術とアーカイヴ ― ジェネティック・エンジン
- Booklet 28 Royal Bodies 象徴と実在の間
- Booklet 29 モルフ/アンティ・モルフー「場」をめぐるイメージ論
- Booklet 30 没後40年 西脇順三郎──無限の過去、無限の未来
- Booklet 31 槇文彦の諸相──建築と人をつなぐ