⼿紙と漂流詩
「書かれた詩の運命も、絶海の孤島に漂着した人が海に投げた瓶詰のメッセージのようなものであるかも知れない。[…]この断章は[…]ようやく岸辺にたどり着いた漂流詩というところであろうか。とはいえ拾われたとしても、その運命については何もわからないのである。」
瀧口修造「地の稲妻」1972年(『コレクション瀧口修造5』みすず書房、1994年、67頁。)
詩人、展覧会のオーガナイザー、美術批評家、造形作家と多様な活動を繰り広げた瀧口修造(1903–1979年)は、様々な人物から多くの物品をおくられているが、手紙もその一つです。現在残っているその数は、およそ3,500件(慶應義塾大学アート・センター所管分)と膨大です。手紙はそれがどんなに素っ気なくても、またどんなに紙葉を重ねていても、遠くにいる誰かに様々な想いを馳せて書かれるものです。それは、瀧口の語る「漂流詩」とよく似ています。
本展では荒川修作/マドリン・ギンズから瀧口のもとへと届いた手紙のような諸作品を対象にします。*
例えば、1974年、エディシオン・エパーヴによって《漂流物標本凾》という9つの小部屋を持つ箱型のオブジェが制作されました。複数の作家が各々の小部屋に漂流物としてのオブジェを収めた作品でです。参加作家の中には瀧口、および荒川/ギンズらがいました。そこで荒川/ギンズは30枚の古写真に手を加えて別の何かへと変成させています。
そして、これらは瀧口へと荒川/ギンズが送った手紙ともよく似ています。これらをオブジェとして見るだけでなく、手紙またはその同封物として見たときに現れる別の表現について考えます。
*本展は瀧口修造資料を分有する富山県美術館と慶應義塾大学アート・センター(以下KUAC)による共同企画展です。富山県美術館(瀧口修造コレクション室)にて行われるとともに、慶應義塾大学で行われるシンポジウム(2024年12月)、KUACで行われるアート・アーカイヴ資料展 XXVII「交信詩あるいは書簡と触発:瀧口修造と荒川修作/マドリン・ギンズ」(2025年3月–5月)と「手紙」というテーマを共有しています。
現在、KUAC、荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所、Reversible Destiny Foundationは瀧口と荒川/ギンズが互いに送りあった書簡整理を共同で進めており、本展示はその整理を背景に企画されました。
サムネイルの作品:《漂流物標本箱》(富山県美術館所蔵)
展覧会チラシ:ダウンロード
富山県美術館ホームページ:リンク
日時
2024年11月7日(木)–2025年2月11日(火)
9:30–18:00(入館は17:30まで)
休館日:毎週水曜日、2024年12月29日–2025年1月3日、14日
*臨時開館・休館する場合があります。
場所
富山県美術館 3階 展示室6
対象
どなたでもご覧いただけます
費用
コレクション展観覧料が必要です。一般300円(240円)
*( )内は20人以上の団体料金
*70才以上と大学生以下の方はコレクション展観覧料無料
*企画展観覧券で入場当日に限りコレクション展も観覧可能
お問い合わせ
富山県美術館
〒930-0806 富山県富山市木場町 3-20
TEL 076-431-2711
慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621
日時
2024年11月7日(木)–2025年2月11日(火)
9:30–18:00(入館は17:30まで)
休館日:毎週水曜日、2024年12月29日–2025年1月3日、14日
*臨時開館・休館する場合があります。
場所
富山県美術館
〒930-0806 富山県富山市木場町 3-20
対象
どなたでもご覧いただけます
費用
コレクション展観覧料が必要です。一般300円(240円)
*( )内は20人以上の団体料金
*70才以上と大学生以下の方はコレクション展観覧料無料
*企画展観覧券で入場当日に限りコレクション展も観覧可能
お申し込み方法
不要
お問い合わせ
富山県美術館
〒930-0806 富山県富山市木場町 3-20
TEL 076-431-2711
慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621
主催・共催など
主催:富山県美術館、慶應義塾大学アート・センター
協力:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所、Reversible Destiny Foundation