『プリーツ・マシーン』2 :中嶋興×松澤宥―写真上の部屋
動画(映像)は動画だけで、静止画(写真)は静止画だけで普通は考えようとするけど、動画を考えるためには静止画を見ないといけないし、静止画を考えるためには動画を見ないといけないんだよ。映画を考えればわかりやすいけど、映画は一枚の写真の寄せ集めだからね。
――中嶋興(2018年11月8、21日に行ったインタヴューによる。)
1969年、中嶋興は松澤宥の「ψ[プサイ]の部屋」へ赴き、写真撮影を行った。「ψの部屋」は松澤が制作していたアトリエであるとともに、それ自体も作品として考え得る部屋である。完成と未完成が混淆した制作物の群れで埋め尽くされているこの部屋で行われたのは、単なる撮影ではない。松澤とこの部屋へと向けられた2日間に渡る中嶋の執拗な関心は、半ば仕組まれ、半ば偶然行われたパフォーマンスへと生成し、その記録写真として結実している。およそ1500枚に及ぶこの写真群* は、松澤と一つの部屋へと差し向けられた1500のパースペクティヴであるだけではなく、中嶋と松澤と「ψの部屋」によるパフォーマンスというひとつの出来事の諸断片である。アーカイヴはいかにこの出来事と膨大な写真群を思考できるのだろうか。印刷物と展示(動画・写真)を通じてこの問いにこたえたい。
*慶應義塾大学アート・センターでは写真を中心とした中嶋興資料を所管している。
日時
2019年3月25日(月)〜5月24日 (金)11:00-18:00
場所
慶應義塾大学アート・センター(三田キャンパス南別館2F)
対象
どなたでもご参加いただけます
日時
2019年3月25日(月)-5月24日(金)11:00-18:00
土・日・祝日、4月23日(火)休館
場所
慶應義塾大学アート・センター(三田キャンパス南別館2F)
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
最寄駅:JR山手線・京浜東北線田町駅、地下鉄三田線三田駅、大江戸線赤羽橋
対象
どなたでもご参加いただけます
費用
入場無料
お問い合わせ
慶應義塾大学アート・センター
Tel: 03-5427-1621
pj.ca.oiek.tsda@ijnet-ca
主催・共催など
主催:慶應義塾大学アート・センター
中嶋興(1941-)
1960年代後半より映像・インスタレーション・芸術運動・記録などの多様な活動を行っている。特に《生物学的サイクル》(1971-)と《My Life》(1976-)等は、数度発表されているが、同時に未完でもある。それらは現在にいたるまで再編され続けられており、中嶋の制作に対する特異な姿勢を表現する映像作品である。
松澤宥(1922-2006)
1950年代初頭より詩と美術の制作を始める。1964年に「オブジェを消せ」という啓示を受け、以後「観念美術」(松澤自身の概念。一般的にはコンセプチュアル・アート)の制作を開始。新たなコミュニティの生成にも注力した。