笠井叡ポスト舞踏公演「今、ショパンを踊る」
例年行われている、慶應大学新入生歓迎舞踏公演におきまして、「今、ショパンを踊る」というタイトルのもと、ショパン作曲の「ピアノ協奏曲一番ホ短調 作品11」と「葬送行進曲」の二曲で、新入生をお迎えしたいと思います。ショパンは僕にとっては、1人の「舞踊家のような作曲家」なのです。彼は、ピアノに向かって即興演奏をしているというよりも、ピアノという楽器をパートナーにして、いつも踊っていたような気がします。ベートーヴェンやモーツァルトのように、大きな交響曲をほとんど作曲しなかったので、このピアノ協奏曲第一番は、ある意味でとても珍しい曲です。そして祖国ポーランドを愛する、あの激しさ。心は常にフランスの貴族のサロンをぬけでて、銃をもって立ち上がろうとする革命の炎を、常に胸の中に秘めていました。時代が大きく変わろうとしている今、あらためてショパンの世界に浸りたいと思います。
笠井 叡
日時
2022年10月19日(水)開演:16時30分
場所
慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎
対象
慶應義塾・塾生のみ50名限定(要予約)
費用
入場無料
お問い合わせ
慶應義塾大学アート・センター
108-8345 東京都港区三田2-15-45 Tel: 03-5427-1621
pj.ca.oiek.c-tra@otomihsi
公演[2022年度慶應義塾大学新入生歓迎行事]
日時
2022年10月19日(水)開演:16時30分
場所
慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎
対象
慶應義塾・塾生のみ50名限定(要予約)
費用
入場無料
お申し込み方法
事前予約制(定員になり次第締切)
登壇者/出演者
公演タイトル『今、ショパンを踊る』
出演:笠井叡
音響・照明:曽我傑
出演者プロフィール
笠井叡は1943年三重県で生まれた.裁判官であった厳格な父親,笠井寅雄の影響下で幼少時代を過ごすが,1954年9月26日の洞爺丸海難事故で父親を亡くす.キリスト教の洗礼は受けていないが,教会生活は長く,「イエスの復活」という歴史的事実は笠井にとって生涯のテーマといっていい.江口隆哉・宮操子のスタジオで学んだことでダンスの世界に入り,後に大野一雄に出会い,三年間,個人指導を受ける.1963年10月,朝日講堂で「犠儀」を踊ったことが遠因となって土方巽と出会い,1965年11月「バラ色ダンス—A LA MAISON DE M. CIVECAWA」(千日谷会堂)に出演する.1971年天使館設立,1979年から1985年までドイツに在住した.オイリュトミー,パントマイムも視野に入れ,狭い意味での「舞踏」に囚われない表現者である.
文章家としても高い評価を得ており,神秘性,精神性を重視する姿勢は,『天使論』,『聖霊舞踏』,『金鱗の鰓を取り置く術』,細江英公との共同による写真集『透明迷宮』ほか多数の著作として結実している.その範囲は,西洋神秘学から日本の大石凝真素美『真訓古事記』まで及び,その表現は,単なる日常言語を超えて「ダンス」にまで昇華されて,熱烈なファンを持つ著述家でもある.「大宇宙の音楽が聴こえる」(『聖霊舞踏』,p. 9)あるいは「聖霊とはエネルギーであって,これなしに人は一瞬たりとも生きることができない」(『聖霊舞踏』, p. 26)と笠井が述べる時,例えばジョン・デイヴィース(Sir John Davies, 1569-1626)の詩に表れている―森羅万象を踊りとして捉える―ヨーロッパ前近代の《ダンス宇宙観》と通じ,現代日本を超えた宇宙性と歴史性がそのコトバにも姿を現わす.
笠井は『カラダと生命―超時代ダンス論』の冒頭で次のように述べる,「歴史というものが常に生きた存在として変化し続けている限り,どんな時代も一つの転換期です.けれども,一人の人間はすべての時代を生き続けているのではなく,ある特定の時代を生きているわけですから,自分が生きている時代そのものが,どのような転換期であるかをリアルに感じ取るためには,歴史全体を俯瞰することができるような,何らかの想像力を駆使しなければなりません」.この言葉に表れているように,笠井は,踊りにおいても,現代性,社会性を強く意識する.そして,2013年度「日本国憲法を踊る」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している.笠井叡の慶應義塾大学新入生歓迎舞踏公演への出演は,2010年度「詩と舞踏のセッション:閃光のスフィア」(吉増剛造との共演),2020年度「日本国憲法を踊る」,2021年度「使徒ヨハネを踊る」に続いて四度目である.(小菅隼人記)
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主催・共催など
主催:慶應義塾大学教養研究センター日吉行事企画委員会(HAPP)・慶應義塾大学アート・センター
協力:慶應義塾高等学校
コーディネーター:小菅隼人