拡張するジャズ ——油井正一アーカイヴ開室によせて
日本のジャズ評論の草分けである油井正一(1918〜98)は、1930年代後半に執筆およびDJ活動を開始、以後1998年に没する直前まで、わが国のジャズに関する言説をつねにリードし続けました。20世紀のジャズは、世界的な社会構造とメディアの状況の激変とともに目まぐるしくその姿を変えつつ、領域を超えて多方面に影響を及ぼしています。油井のジャズ評論は、そんなジャズ文化を日本がどのように受け止めていったかを記録した、重要なドキュメントでもあります。
慶應義塾大学アート・センターでは、ご遺族からの寄託をうけて、大学OBでもある油井正一のジャズ関連資料の調査・整理とアーカイヴ構築を2003 年より進めてまいりました。そして、2011年1月、閲覧受付が開始されるこの機会に、アーカイヴの開室によせて、油井の大きな仕事を振り返り、ジャズ史研究の未来をも考える講演会を開催いたします。
音楽家、文筆家として多彩な活動を展開されている菊地成孔氏、音楽ジャーナリストとして、また音楽教育の領域でも義塾を含め活躍されている中川ヨウ氏を迎え、アーカイヴ資料の紹介をまじえつつ、様々に変化、拡張していくジャズについてお話いただきます。
日時
2011年1月22日(土)17:00〜19:30(16:30開場)
場所
三田キャンパス 北館ホール
対象
日時
2011年1月22日(土)17:00〜19:30(16:30開場)
場所
慶應義塾大学 三田キャンパス 北館ホール
(港区三田2-15-45 JR田町駅・都営地下鉄三田駅から徒歩8分)
対象
費用
無料
お申し込み方法
事前申し込み不要
登壇者/出演者
講師:菊地成孔|中川 ヨウ|粂川 麻里生(アート・センター 所員:油井正一アーカイヴ担当/慶應義塾大学文学部 教授)
菊地 成孔
音楽家、文筆家、音楽講師。音楽家として84年にプロデビュー後、山下洋輔トリオなどの活動を経て、リーダーアルバム、スタジオワークを多数発表。
著作デビューは03年「スペインの宇宙食」(小学館)。以後、精神分析学から服飾文化史、音楽理論史など幅広い領域で、膨大な知識と妄想を駆使した饒舌な文体をもつ異形の批評家/エッセイストとして活動中。
音楽講師としては、私塾である「ペンギン音楽大学」をはじめ、02年よりアテネ・フランセ運営の「映画美学校/音楽美学講座」楽理・編曲科主任講師を継続中、04~05年にかけては東京大学教養学部非常勤講師(「ジャズ~20世紀アメリカ史」「マイルス・デイヴィス研究」)として講鞭を執り、以後、06~07年に国立音楽大学、07~08年に東京芸術大学、08~09年に慶應義塾大学と非常勤講師を歴任。音楽理論、特にジャズ・ポピュラー理論の歴史を音楽史と照合する講義を続けている。
中川 ヨウ
音楽ジャーナリスト。ジャズを核に、ポピュラー・ミュージック全般、ワールド・ミュージックとジャンルにとらわれない執筆活動を展開。21世紀の音楽の行方を語れる評論家として、高く評価されている。さまざまなミュージシャンとの交流からつむぎだされる、そのインタヴューは、相手の懐深くに飛び込み、人間的な面までを引き出すといわれている。連載・レギュラー執筆として、毎日新聞「らっこ」、新潮社「ENGINE」、「婦人公論」、「オーディオ アクセサリー」などがある。近著に、「ジャズに生きた女たち」(平凡社新書)がある。
近年は、音楽評論の域を超え、音楽教育でも活躍しており、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別研究准教授、洗足学園音楽大学ジャズ・コース客員准教授をつとめている。洗足学園音楽大学では「ジャズの歴史」「ジャズ/音楽の最先端で起こっている事象について」の教鞭をとり、義塾では「音楽と場所との関係性」、「21世紀の音楽の行方」について研究している。
お問い合わせ
慶應義塾大学アート・センター tel:03-5427-1621
pj.ca.oiek.tsda@1102zzaj-c-tra
主催・共催など
主催:慶應義塾大学アート・センター