慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

アート・アーカイヴ資料展XXVII「交信詩あるいは書簡と触発:瀧口修造と荒川修作/マドリン・ギンズ」 アート・アーカイヴ資料展XXVII

「紙にひだをつける、ただそれだけの行為。それは交信紙と名づけられるはずの用箋にすぎない。[…]それらはオブジェであり、言葉でもある。永遠に綴じられず、丁づけされない本。」
(瀧口修造「白紙の周辺」『余白に書く』みすず書房、1966年、116頁。[初出:瀧口修造「白紙の周辺」『みづゑ』1963年3月号、美術出版社、69頁。]初出において「交信紙」は「交信詩」と呼ばれている。)

「この作り手は、もともとそこから形づくられた一連の状態のうちに"死ぬ”か“解体する”。言いかえれば、“私たち”というグループ、共存する時空(たいていの場合、個人、“私”として行為すること)は再集合しはじめる。“作り手”は時空におけるそれ自身の再集合についてしりえず、このことは私たちを空白へと連れてゆくのである。/無数の再集合、おなじように無数の空白がある。」
(荒川修作「制作ノート」本江邦夫訳、『第6回オマージュ瀧口修造』佐谷画廊、1986年。)

瀧口修造(1903-1979)と荒川修作(1936–2010)は様々な形で触発し合う関係にあった。荒川の渡米後、ほどなくして手紙の差出人にマドリン・ギンズ(1941-2014)の名前が加わるが、瀧口の最期にいたるまでその往復書簡は途絶えることがなかった。瀧口は完成にも未完成にも見える自身の手づくり本を「交信詩/交信紙」と呼んでいたが、この概念を字義通り取るならば、書簡のことである。

荒川/ギンズから瀧口へ宛てられた書簡の中には、文字を連ねて用事や近況を伝達することに留まらず、ユーモアや機知に富む方法を用いて書簡を酷使し、新たなメディアへと変成させる準作品のような書簡がいくつもある。例えば、メッセージの書かれた古絵葉書の文字に重ねるように新たなメッセージを書き加えたり、印刷された図像に矢印や数語を加えて別の表現を生成させている書簡などのことである。それらは書簡という非常に私的なメディアであるが故に、発信者と受信者にしかわからないある種の秘境性を有する術語が駆使されているかに見える。しかし同時に開かれた濃密な「空白(blank)」を発生させている。書簡(「交信詩」)を共作の場と捉え、その中に蠢く「空白」を通して、瀧口と荒川/ギンズの諸問題を再考することを目指す。


*本展は富山県美術館(瀧口修造コレクション室)で行われている展覧会「⼿紙と漂流詩」(2024年11月–2025年2月)、慶應義塾大学で行われるシンポジウム「パピエプリエ 02:瀧口修造と荒川修作/マドリン・ギンズ―書簡または余白と空白」(2024年12月)と「手紙」というテーマを共有している。
現在、KUAC、荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所、Reversible Destiny Foundationは、瀧口と荒川/ギンズが互いに送りあった書簡整理を共同で進めており、本展示はその整理を背景に企画された。
 

展覧会チラシ:ダウンロード

日時

2025年3月17日(月)– 5月30日(金)
11:00–18:00
(土日祝日休館)

場所

慶應義塾大学アート・センター アート・スペース
(三田キャンパス南別館1階)

対象

どなたでもご覧いただけます

費用

入場無料

お問い合わせ

慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621 FAX 03-5427-1620

展覧会[アート・アーカイヴ資料展XXVII]

日時

2025年3月17日(月)– 5月30日(金)
11:00–18:00
(土日祝日休館)

場所

慶應義塾大学アート・センター(三田キャンパス南別館1階アート・スペース)
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス南別館

最寄駅:JR山手線・京浜東北線 田町駅、地下鉄三田線・浅草線 三田駅、大江戸線 赤羽橋駅

対象

どなたでもご覧いただけます

費用

入場無料

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慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621 FAX 03-5427-1620

主催・共催など

主催:慶應義塾大学アート・センター
協力:富山県美術館、荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所、Reversible Destiny Foundation


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