Booklet 21 光源体としての西脇順三郎
大正末年に3年間のイギリス留学から帰国した西脇順三郎について、村野四郎はいみじくも「西脇さんが泰西の新しい詩的思考の匂をぷんぷんさせて、日本におりたった時に、わが国の文芸復興ははじまった」と評している。昭和初年度の西脇順三郎のめざましい活躍は、単に詩や詩論にとどまることなく、ヨーロッパ文学の深い理解のもとに新しい思考のスタイルと感性の変革をもたらした。その感化は言語学や民俗学の領域にも及んでいる。それは恰も、『新論法』(Novum Organum)を著して、イギリスのルネッサンス期に新しい学問の土台を作った、あのベーコンの仕事に匹敵するのではないだろうか。 西脇アーカイヴ発足より一年を経て、今ここに新しい西脇像を多角的に結ぶ。
B5変型 146頁 750円(税込) 送料290円 2013.1.20発行
目次
- ごあいさつ (内藤正人)
- はじめに (新倉俊一)
1
- 萩原朔太郎と西脇順三郎――二つの〈詩の原理〉 (新倉俊一)
2
- ディオニュソスとスサノヲ――西脇順三郎と折口信夫 (安藤礼二)
3
- 純金の鍵の行方――西脇順三郎と瀧口修造 (笠井裕之)
4
- 黎明の詩学――西脇順三郎と井筒俊彦 (若松英輔)
5
- 西脇順三郎の《漢語ギリシャ語比較》とはなにか (工藤進)
6
- 西脇順三郎のシュルレアリスム (朝吹亮二)
7
- フローラの詩学 (杉本徹)
8
- 詩集『えてるにたす』について――永遠のアイロニー (八木幹夫)
9
- 海外の声 (西原克政)
10
- 西脇順三郎アーカイヴ解説と研究会報告 (橋本まゆ)
11
- 主要研究資料 (大前美由希)
12
- 欧文要旨