<わが最良の友>たる芸術家――バックミンスター・フラーとイサム・ノグチ
Best of Friends:Buckminster Fuller and Isamu Noguchi
表現や制作に従事する人間にとって、いったいベスト・フレンドとは何者なのだろう。盟友か、心友か、あるいは畏友か、はたまた親友か。
リチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983)は、エンジニアで発明家、また建築家であった。未来的な量産住宅《ダイマキシオン・ハウス》(1927)や、省エネルギー環境を意識したハイブリッド交通手段《ダイマキシオン三輪自動車》(1932)、あるいは都市空間を漂うようなドーム建築で名高い。慶應義塾に彫刻《無》や建築環境デザイン《ノグチ・ルーム》を残し、近年ますます世界的に評価がたかまっているイサム・ノグチ(1904-88)は、バックミンスター・フラーを生涯にわたって<わが最良の友>とした。
近代美術は、イズムやエコール、運動、カンパニーを軸に展開してきた。だが、そうしたユニットに求めえない芸術家同士の連帯とは何か──イサム・ノグチとバックミンスター・フラーの交友を、自分自身が彼らの良き友人でもあったショージ・サダオ氏があとづけ、その意味を考察する。
Buckminster Fuller with Isamu Noguchi, 1970s.
Photo:Arnold Eagle, Estate of Arnold Eagle
日時
- 2006年11月14日(火) 18:00-19:30
講師
- ショージ・サダオ Shoji Sadao
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建築家/イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)名誉顧問/財団法人イサム・ノグチ日本財団顧問
コーネル大学建築学科在学中にフラーと知り合い、イサム・ノグチに紹介。1954年からフラーの協力者となり、1965年より共同事務所を開設、67年にモントリオール万博アメリカ館《ジオデシック・ドーム》をフラーとともに制作した。一方で60年代にイサム・ノグチの庭園プロジェクトに協力。またノグチの《あかり》作品をはじめ、多数の制作活動を支援。ニューヨークの「イサム・ノグチ庭園美術館」開設を主導した。自らのキュレーションにより、ノグチとフラーの交友を総括する展覧会「ベスト・オブ・フレンズ──フラーとノグチ」(2006.5-19-10.15 ノグチ・ミュージアム)を開催。
会場
慶應義塾大学三田キャンパス 東館6階G-SECLab
主催
慶應義塾大学アート・センター