ダンス・絵画・音楽を融合する現代芸術の現在を考える——『踊る筆・描く音・奏でるからだ』 ウィーンのアート・アンサンブルTAMAMUが表現する <描><楽><踊><語>の共振と現代芸術上の位置
『タマム』は、ダンス(Tanz)、絵画(Malerei) 、音楽(Musik)+語りを融合させ、新しい総合芸術表現を開拓してきた芸術集団です。その芸術表現が示す総合芸術としての新鮮さ、幻灯で映し出される走馬燈が踊っていくような雰囲気、絵画的書道の「踊る筆」によって描かれる色彩影絵の世界をお届けします。また、ウィーンの現代芸術表現傾向に照らし合わせながらタマム作品についての解説をおこないます。
2005年10月7日
於:三田キャンパス 北館ホール
公演:TAMAMU
解説・批評
- TAMAMU
- 石井達朗(慶應義塾大学理工学部教授)
- ヴァルター・フォーグル(慶應義塾大学商学部助教授)
司会:宮坂敬造(慶應義塾大学文学部教授)
主催:慶應義塾大学アート・センター
協力:オーストリア大使館/オーストリア外務省
TAMAMUについて
タマム (TAMAMU) =ダンス (Tanz) 絵画 (Malerei) 音楽 (Musik) + 語り
『タマム』は、ウィーンを拠点にしていますが、 国境を超えた様々な分野の芸術家たちによって構成されたユニークな芸術表現集団です。光と影を操作するライブ・ドローイングを軸とし、ダンスや音楽、語りなどを立体的に交差させ、実験的で多彩な総合舞台芸術作品を創り上げる点で注目され、1988年発足以来、ヨーロッパの多くの聴衆に支持されてきました。
ローマン・シャイドル(Roman Scheidl)
1949年ニ−ダ−エスタライヒ州レオポルヅドルフ生まれの画家。国内外で知名度が高い。1970〜75年ウィ−ン造形美術アカデミ−で学ぶ。以来今日まで、世界各地で個展を開き各地を見聞して回る。彼の作品はチューリッヒ・クンストハウス、ミュンヘン・市立ギャラリー/レンバッハハウス、デュッセルドルフ・ノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館、パリ国立図書館、ウィ−ン・アルベルティ−ナ美術館、ニ−ダ−エスタライヒ州立美術館他などに収蔵。ウィーン国立オペラ座・国立劇場のチケット売場正面上の壁画の委嘱を受ける。
カタリ−ナ・プシュニク (Katharina Puschnig)
1969年生まれ、ウィーン郊外プルカスドルフで育ち、1997年以来、画家、パフォーマーとしてローマン・シャイドルと共にアンサンブルを主宰。彼女は舞台演出、テキスト選考、そして主に舞台で語りながらのパフォーマンスを務める。
マグダ・ロイツェンバウアー(Magda Loitzenbauer)
1966年ブラジル生まれ。フリーランサーのダンサー、振付師として3年前からタマムに在会。ブラジルでバレー学校を卒業。ウィーンコンセルヴァトワールでダンス教育者の国家試験を受得した後、同校でモダンダンス、ヨガの教育にあったている。
新井 英夫 (Hideo Arai)
1966年埼玉県生まれ。自然直伝に動きを探る「野口体操」を創始者野口三千三氏より学ぶ。演劇活動を経て、97年より独学でダンスを始める。国内およびカナダ・ハンガリー・マレーシア等で舞台活動を多数行う。 2003年よりタマムに参加。舞台活動と併行して幼稚園・高校・大学・老人施設等で幅広い層に向けた身体ワークショップも精力的に行っている。
鈴木 文 (Aya Suzuki)
国立音楽大学声楽科卒業、同大学院声楽専攻(オペラ)修了。 渡邉誠、中畑和子、田口興輔の各氏に師事。二期会準会員。
塩高 和之 (Kazuyuki Shiotaka)
作曲を石井紘美氏に、琵琶を田中之雄氏に師事。自らの作品だけでなく伝統的な古典曲にも積極的に取り組み、分野を超えて作曲、演奏活動を国内のみならず海外でも展開。
阿部 京子 (Kyoko Abe)
1950年東京生まれ。1972年よりオーストリア在住。国立音楽大学 (東京) 、ウィーン国立音楽大学作曲科及び電子音楽科卒業。ウィーン市よりエルンスト・クレネク賞、アルス・エレクトロニカより総合メディア部門でタマム作品「富士」が入賞他、幾つかの国際コンクールで受賞。国際現代音楽協会会員。作品は国内外の現代音楽祭を始め、世界各地で演奏される。1988 年タマム創立来在会、現在名誉会員。
朗読テキスト作者 (日本語翻訳: 大羅志保子)
ヴォルフガング・ヘルマン (Wolfgang Hermann)
1961年ブレ−ゲンツ生まれ、作家。ウィーン大学で哲学と独文学を学んだ後、長期に渡り外国に滞在、その中には上智大学での講師としての日本での滞在も含まれる。彼の作品は数多くの文学賞を受賞。