生命を寿く——高校生の声の力
日本の「古典」は、若い世代にどのようにして伝承され、愛されるのか。
ここにお届けするのは、慶應義塾志木高等学校の生徒たちによる、一つの解答例であります。生徒たちは、日頃の授業で学んだ和歌や俳句を徹底して読み込み、研究したうえで、さらに研修旅行を通じ、それらの作品が制作された現場に立ち会い、たとえば大伴家持の心に思いを馳せながら、声を揃えて歌うのです。
身体の重要性が声高に叫ばれている現在にしてなお、ここまで肉声を駆使した、しかも集団による真摯な試みは類例がありません。集団発声や個人朗唱による和歌や俳句の「読み」は、たんに伝統文化をおさらいする仕草を超えて、若者たちの心に宿る柔軟な感性や自発性が、いまここに開示される場でもあるのです。一貫教育を実践する慶應義塾が、自信をもって世界に発信する、特大サイズの芸術・教育メッセージ。時代の最先端を担う若者たちによる、生きた言語と身体のパフォーマンスを、心ゆくまで楽しんで下さい。
2004年1月20日
於:三田キャンパス 西校舎ホール
出演:慶應義塾志木高等学校生徒
指導:速水淳子(慶應義塾志木高等学校教諭)
主催:慶應義塾大学アート・センター