限界を生きる人たちと共に ——講演と『神の子たち』上映
新入生歓迎行事
ゴミ拾いに生きる極貧のアジアの子供たち。その姿を通して、貧困・病気・障害・差別・医療・援助について考えてみよう。より良く生きるためには、貧しさを克服し、より豊かにならねばならない——私たちは、そう信じて疑わない。けれども、この信念は本当に正しいのか。
現代社会には、この信念を持つことさえ許されない状況が数多く存在する。
国境なき医師団医師 貫戸朋子(かんと・ともこ)氏の講演と「神の子たち」(監督 四ノ宮浩)の上映にぜひご参加ください。本フイルムは一般公開されません。
2002年6月21日
於:日吉キャンパス 新研究室棟1階シンポジウム・スペース
プログラム
第1部 講演「人道的援助とは何か」(16:30〜17:50)
貫戸朋子(国境なき医師団医師)
第2部 ドキュメンタリー映画「神の子たち」上映(18:00〜19:45)
司会:橋本順一(慶應義塾大学商学部教授/アート・センター短期所員)
講師:貫戸朋子(国境なき医師団医師)
司会:橋本順一(慶應義塾大学商学部教授/アート・センター短期所員)
主催:慶應義塾大学アート・センター
共催:日吉キャンパス入学歓迎行事運営会議
貫戸朋子
国境なき医師団(MSF)医師(産婦人科医)。1993年、同医師団に日本人初の国際ボランティア医師として参加し、スリランカやボスニアで医療活動に従事。また、メキシコで国際協力事業団の技術協力プロジェクトを担当。NHK「課外授業ようこそ先輩・国境なき医師団貫戸朋子」(1999年、エミー賞受賞)に出演。『国境なき医師団:貫戸朋子』KTC中央出版、2000年。
国境なき医師団(MSF)とは?
1971年,フランスで医療人道援助団体として3人の医師により設立される。人種、宗教、思想、政治すべてを超えて、紛争、自然災害、伝染病などに苦しむ人々への医療援助活動を難民キャンプ、飢餓地域、被災地、戦地など医療サービスの欠如した土地で実践する。毎年3000人以上のボランティア(医師、看護婦、助産婦、技術者、物資調達要員など)が、援助活動に参加。活動地域は現在80ヵ国以上におよぶ。世界中に18の支部を設置。日本では1992年に事務局を開設し、広報と募金活動(世界各国へのプログラムの資金提供)、ボランティアの派遣、阪神大震災時の医療援助(神戸)、野宿者プログラムなどを展開している。個人の理解と援助が国境なき医師団の活動を支えてきた。1999年、ノーベル平和賞を受賞。
ドキュメンタリー映画「神の子たち」
アジア最大のスラムと呼ばれてきたマニラ市郊外の巨大なゴミ捨て場“スモーキーマウンテン”は1995年11月にフィリピン政府により強制撤去された。ここでゴミを生活の糧としていた人々の一部は、マニラから約20Km離れたケソン市パヤタスゴミ捨て場へと移住を余儀なくされた。しかし、パヤタスゴミ捨て場で2000年7月10日に崩落事故が起きたため、その5日後、政府によりゴミの搬入が中止された。ゴミ捨て場に住む人々はゴミの搬入が再開されるまでの4ヶ月の間、生活の糧を失うこととなった。極貧の中に生まれる新しい生命、そして死。この作品は、そうした過酷な環境にありながらも、誇りを失わずに生きる人間たちの姿を克明に捉えたドキュメンタリー映画である。フィリピンでは障害をもつ無垢な幼児を「神の子」と呼ぶ。