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「慶應義塾の建築」プロジェクトは、一貫教育校を含む塾内建築についての記録資料を作成・保存しその記憶をアーカイヴ化するプロジェクトであり、創立150年を迎え、新規建築事業に伴う既存建築の解体が始まったことを契機に、ノグチ・ルームアーカイヴのブランチとして立ち上げられた。
慶應義塾の建築について、建築アーカイヴの実践を行うとともに、建築のアーカイヴ化について研究し、考察・検討していくことはアート・センターにとって取り組むべき課題として認識されてきた。建築は有用性の論理から逃れることができない対象であるため、常に改築や解体の危機に直面せざるを得ない。芸術的な価値が認められている建築であっても、使用上の観点から失われてしまうことも多い。このような状況の中で、建築についてアーカイヴ化を行い、建築空間の記憶をとどめようする試みは極めて重要な建築史的な意味をもつだろう。それと同時に、大学が自らの建築に対してこのような研究プログラムを実践することは、日常を送る建築空間を再認識し、意識的に建築にアプローチすることを学生にも促すことになる。
本プロジェクトは、「塾内建築の基礎調査と記録資料整備」と「情報の発信・共有」を活動の軸にする。基礎調査と記録資料整備については、画像記録の現状調査、建築物の記録撮影、図面のデジタル化、建築物についての基礎データの収集および整備 等の作業を計画している。また、情報の発信・共有に関しては、撮影した写真を用いた写真展の開催、建築の見学会やワークショップの開催を検討している。