アーツ・アーカイヴ──新しい感性と知の空間をめざして
慶應義塾大学アート・センターは、1993年の設立当初より、現代の芸術・文化に関する「研究アーカイヴ」の構築に関心を寄せてきました。
そもそも「アーカイヴ」とは、ある特定の主題に関する一次資料を収集・保存・管理・調査する機関を意味しますが、アート・センターにおけるアーカイヴ活動はさらに、アート・センター内外の専門研究者の協力のもとに研究活動をおこない、あわせて特定主題に関する研究成果(二次資料)の収集・蓄積とその情報化に重点をおく「研究アーカイヴ」の構築を実践しています。
慶應義塾大学アート・センターは現在、わが国の現代芸術を方向づけたアーティスト・評論家の活動を主題とする四つのアーカイヴをもっています。土方巽(身体表現)、瀧口修造(造形・評論)、ノグチ・ルーム(彫刻・建築・環境デザイン)、油井正一(ジャズ評論)です。諸芸術領域を包括する研究アーカイヴ、「アーツ・アーカイヴ」です。
アーツ・アーカイヴは、たんなるデジタル情報空間ではありません。アーティストの眼差しや息づかいを告げる一次資料との出会いの場であり、その理解や解釈をアーキヴィストと共有しうる場です。慶應義塾大学アート・センターのアーツ・アーカイヴは、身体的感性と知が交通する新しい場の創出をめざしています。