朝倉文夫《平和来》三田キャンパス野外彫刻洗浄保存処置
三田キャンパスに設置されている3点の野外彫刻に関しては、2001年度に朝倉文夫《平和来》、柴田佳石《福澤諭吉胸像》について、2003年度、 2005年度、2007年度には2点に朝倉文夫《小山内薫像》を加えた3点について、洗浄保存処置を実施している。2009年度には2008年度に野外に再設置された菊池一雄《青年》を加えた全4点について洗浄保存処置を行った。再び作品表面に汚損が認められたため、アート・センターを通じて専門家によつ洗浄保存処置を行った。
保存修復作業記録
2012年3月
ブロンズスタジオ・黒川弘毅/作業者:黒川弘毅、伊東一洋、篠崎未来
作品
作者=朝倉文夫
題名=平和来
制作年=1952年
材質・技法=ブロンズ
寸法=1850x580x570 mm
【作業前の状態】
・表面の状態:白みを帯びたスポット状のさびが像全体に目立ちだしている。ワックス塗膜下でさびが進行していると推定される。撥水性は良好に維持されていた。
・鳥の排泄物:付着が見られた。
・人為的キズ・落書き:なし
・ピンホール・穴・亀裂:顕著なものは認められない。
・内部からの噴出・析出物:地山のクラックから白色の析出物がみられた。内部のモルタルに由来するカルシウムと推定される。
・破損・欠失箇所:なし
・変形箇所:なし
・その他の異常:顕著なものは認められない
・固定状態:良好
【作業の基本方針】
洗浄した後、保護剤を更新して撥水性を維持する。
【作業内容】
1.洗浄作業
非イオン系洗剤を用いて洗浄した。
使用材料:非イオン系洗剤溶液
2.保護剤塗布作業
蜜蝋を全体に塗布した。
輪郭にメリハリが出るように光沢を調整した
使用材料:蜜蝋、リグロイン
【作業結果】
作業前と比較して顕著な変化は認められない。
【保存上の注意事項】
像全体に白みを帯びたスポット状のさびが目立ちだし、ワックス塗膜下でさびが進行していると推定される。今後、さびの拡大が予想される。
さびの拡大は、他の美術館等で同様の処置を施している多くの作品でも観察されている。これらについてさびの化学分析はまたなされておらず、腐食性のものであるか安定したものであるも不明である。
この錆が拡大して目立つようであれば、ワックスを加熱塗布して錆層に含浸させてさびの色調を調整する。
Date
2012年3月1日
What's on
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