瀧口修造研究会特別例会 パピエプリエ 00:交信紙 ── 岡崎和郎の矢印について
詩人、美術批評家、造形作家である瀧口修造(1903-1979)*1は、60年代には通称「手づくり本(handmade brochure)」を中心に造形的な実験を開始、さらに国内外の芸術家との交流を通じて個の限界を超える活動を試みた。その活動において瀧口は、『余白に書く』(1966)を代表とし、「余白」というモチーフを晩年まで探究していた。
瀧口の共同制作者である岡崎和郎(1930-2022)の「補遺(サプリメント)」と瀧口の「余白」は、二人の活動を共鳴させる蝶番となるのではないか。瀧口修造研究会特別例会として行う本シンポジウムでは、瀧口・岡崎の仕事を間近で見てきた馬場駿吉氏(美術批評家、俳人)、瀧口・岡崎の共同制作のモチーフであったマルセル・デュシャンの研究者、平芳幸浩氏をお招きする。そして、10年前に行われた催事*2の際に記録された岡崎の声をたよりに、《瀧口修造──Arrow Finger》を出発点として二人の活動を再考する。
シンポジウムチラシ:ダウンロード
Date
2022年12月10日(土)14:00-16:00
Venue
慶應義塾大学三田キャンパス東館6階G-Lab
Audience
どなたでもご参加いただけます
Cost
入場無料
Enquiries and bookings
慶應義塾大学アート・センター
03-5427-1621
pj.ca.oiek.tsda@eciffo-ca
Research seminar[瀧口修造研究会]
Date
2022年12月10日(土)14:00-16:00
Venue
慶應義塾大学三田キャンパス東館6階G-Lab
Audience
どなたでもご参加いただけます
Cost
入場無料
Booking
お申し込みはこちら:Peatix
Lecturer/Performer
登壇者:
笠井裕之 かさいひろゆき 司会
馬場駿吉 ばばしゅんきち
平芳幸浩 ひらよしゆきひろ
瀧口修造研究会メンバー
馬場駿吉
1932年(昭和7年)名古屋市に生まれる。俳人、美術・舞台・音楽評論家、医学博士。名古屋市立大学名誉教授、元名古屋ボストン美術館館長。中学時代から俳句に親しみ、医学研究の傍ら、現代芸術の最前線を横断する評論活動を展開。医学専門書、句集、美術評論集、舞台評論集など著書多数。
平芳幸浩
1967年生。博士(文学)(京都大学)。京都工芸繊維大学デザイン・建築学系教授。専門は近現代美術で、マルセル・デュシャンの受容史研究を主たるテーマとする。近著に『日本現代美術とマルセル・デュシャン』(思文閣出版、2021年)。
笠井裕之
1961年生。慶應義塾大学教授。専門は20世紀フランス文学、特にジャン・コクトー。慶應義塾大学アート・センター「瀧口修造アーカイヴ(現在は、瀧口修造コレクション)」で瀧口の資料研究に携わる。主な編著書に Les Cahiers Jean Cocteau 16 : «Jean Cocteau et l’Orient» (Non Lieu, 2018)、『瀧口修造1958──旅する眼差し』(慶應義塾大学出版会、2009年)。
Enquiries and bookings
慶應義塾大学アート・センター
03-5427-1621
pj.ca.oiek.tsda@eciffo-ca
Organiser(s)
主催:瀧口修造研究会
パピエプリエ:〈パピエプリエ(papier plié)〉とは、瀧口が「手づくり本」に準ずるものに付けた名称である。直訳すると「折り畳まれた紙」だが、折紙を指す場合もある。『シュルレアリスム簡約辞典』(1938)の「美しい死骸」の項目に、次のような説明がある。「いく人かの人間に、一句乃至はひとつのデッサンをかかせることでなりたつ、パピエプリエの遊び。 」(アンドレ・ブルトン、ポール・エリュアール編『シュルレアリスム簡約辞典』江原順訳、現代思潮社、1976年、6頁[初版1971年]。原文を参照しつつ一部訳語を変更した。)。遊びの最中、前の人が書いた/描いたものは折り畳まれて隠され、次の人は見ることができない。
交信紙:〈交信紙〉とは、瀧口が「紙にひだをつける、ただそれだけの行為。それは交信紙と名づけられるはずの用箋にすぎない」(瀧口修造「白紙の周辺」『余白に書く』みすず書房、1966年、115頁)と書いているように「手づくり本」に準ずるものに付けた名称である。それは、多様な方法による人や物や出来事との関係構築(「交信」)を目論んだものである。なお「白紙の周辺」の初出(『みづゑ』3月号、美術出版社、1963年)では「交信詩」と書かれている。
*1. 慶應義塾大学アート・センターでは、2001年にご遺族から資料をご寄贈いただいたことが機縁となり、「瀧口修造コレクション」を開設、そのアーカイヴ構築を現在も継続している。2021年6月からはさらなる研究・創作活動を活性化を目的とし、学内外の研究者・アーティストで構成された「瀧口修造研究会」を立ち上げた。本シンポジウムは、その特別例会である。
*2. 岡崎和郎、加納光於、笠井裕之(司会)「東京 ローズ・セラヴィ——瀧口修造とマルセル・デュシャン」展関連イベント:講演会「瀧口修造をめぐって」(2012年12月8日(土)14:00-15:30 慶應義塾大学 三田キャンパス 西校舎519教室)
What's on
- SHOW-CASE PROJECT Extra-1 Motohiro Tomii: The Presence of Objects and Matters
- 舞踏家・上杉満代による舞踏ワークショップ「呼吸を遊び 体と遊び 床を踏む!」
- Keio University Mita Campus Architecture Open Day
- Correspondences and Hyōryūshi [Drifting-poetry]
- Papier Plié 02: Correspondences between Shuzo Takiguchi and Shusaku Arakawa/Madeline Gins — Margin and Blank