イタリア文化のいま——インスピレーションの源泉としてのマフィア
イタリア社会に深く根付いている(とわが国では思われている)マフィアを今日的視点から問い直す、マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督の『ペッピーノの百歩』(I cento passi, 2000年製作)などの作品を素材に、イタリア人講師ジョエ氏にマフィア的インスピレーションと映画について解説をしてもらう。
Date
2005年11月28日
Venue
三田キャンパス 東館G-SECLab
Audience
Lecturer/Performer
講師:イニャツィオ・ジョエ(慶應義塾大学訪問講師)
司会:鷲見 洋一(慶應義塾大学文学部教授)|橋本 順一(慶應義塾大学商学部教授)
Enquiries and bookings
Organiser(s)
主催:慶應義塾大学アート・センター|映画理論研究会
協力:イタリア文化会館
物語
ペッピーノは、マフィアが支配するシチリアのチニシという街に生まれた。マフィアのボスであるターノの家は、彼らの家から百歩しか離れていないところにあった。ペッピーノの父親は頭のいい息子を誇りに思っており、いつかはターノのようになってほしいと願っていたが、ペッピーノが青年となった1960年代、各地で同世代の若者たちが伝統的価値観を拒絶し騒動を起こした。ペッピーノは仲間たちとマフィアを糾弾する新聞を発行し、ラジオ局を開設した。父親は息子を力ずくで黙らせようとしたが、ペッピーノは反発し家を出る。しかし母親と弟は、ひそかにペッピーノを支えた。マフィアとの緊張は日に日に高まり、ある日父親は何者かによって殺される。ペッピーノは議員に立候補することを決心する。しかし最後の選挙集会の直前、ペッピーノは死体で発見され、警察は自殺と判断。ターノが殺人事件の主犯として起訴されたのは、それから20年も後のことであった。